刺激と反応の間のスペース

私たち人間は周囲から刺激を受けながら、喜怒哀楽という感情を表現している生き物である。

喜怒哀楽

夫婦げんかをしたり、
悲しい出来事があったり、
職場でいやなことがあったり、
オリンピックを観て感動したり、
子どもの思いがけない行動に驚いたり、
誕生日プレゼントをもらって大喜びしたり・・・

私たち人間は、日々周辺からの刺激に反応しつつ、
喜怒哀楽という感情を織り交ぜながら生活を送っています。

そういう人間が他の動物と決定的に異なる点があります。

それは、刺激と反応の間にスペース=選択の自由があるということ。

これに関しては、このサナギ・ブログで再三取り上げてきた『7つの習慣』にわかりやすく書いてあるので、その部分を引用してみます。

7つの習慣 - 成功には原則があった!

人間は刺激と反応の間に選択の自由を持っているということである。この選択の自由の中にこそ、人間の人間たる四つの独特な性質<自覚・想像力・良心・自由意志>がある。

まず自覚がある。これは自分自身を客観的に見つめる力である。次に想像力がある。これは現在の状況を超えて頭の中で想像する力である。良心もある。これは人間の心の奥底で善と悪を区別し、正しい原則を知り、今の思いや行動はどれだけ原則と調和しているかをわきまえる意識または能力である。そして自由意志がある。これはほかのあらゆる影響に縛られることなく自覚に基づいて行動する力のことである。

動物は最も賢いものでさえこの性質をひとつも持っていない。コンピュータの比喩表現を使えば、彼らは本能や訓練によってプログラムされているに過ぎない。価値ある仕事を果たすように調教されることはあっても、その調教に対する責任はとれない。したがって方向性を自分で決めることはできないし、プログラムを自分で書き換えることもできない。そのプログラムがあることすら意識することができないのである。

しかし、人間は前述の四つの独特な性質を持っているため、本能や訓練を超えて全く違う新しいプログラムを自分たちで書くことができる。この点こそが動物の能力に限界をかけ、人間に無限の可能性を与えてくれる。だが、動物のように生活をすれば、つまり本能、条件付け、あるいは記憶だけで反応するなら、私たちも動物と同じように制限されることになる。

 

上記引用文は、数年前に初めて『7つの習慣』を読んで、目からうろこだった一節です。

確かに動物は、刺激に対して反応する時に、本能のままに動きます。

ここで一つ例を紹介します。


犬にほっぺを噛まれる直前の二男

うちの一番下の息子(当時3歳)は、隣の家の飼い犬と大の仲良しで、毎日あいさつに行っては頭なでたり、話しかけたりしてました。その犬は老犬で大変おとなしく、息子が行くといつもしっぽを振って喜んでくれました。

そんなある日、息子がいつものようにワンちゃんのところに遊びに行ったのですが、まもなくして大声で泣き叫ぶ声が聞こえるではありませんか!

それで駆けつけてみたところ、息子が血だらけになっていました。
よく見てみると、左のほほを噛まれていたのでした。

もちろん、そのワンちゃんは反省の色など何もなく、息子が泣き叫んでいても何事もなかったかのように鎖につながれていました。

その日は台風一過の朝で、夜中強風で犬小屋でよく眠れなかったのでしょう。
しかも、ちょうどエサの時間だったみたいです。

そういうタイミングでうちの息子が遊びに行ったものですから、本能丸出しで反応してしまったようです。

結局、息子は顔を18針縫う大けがでした。

今ではもうトラウマもないらしく、仲よく遊んでいますが、ペットといえども、動物の本能の恐ろしさを思い知らされた事件です。


人間は、このように本能丸出しの動物とは違い、周囲からある刺激を受けた時に、より良い選択をする自由が与えられているようです。

私は基本的に平和主義者なので、あまりけんかはしませんが、はっきりものをいうタイプです。

なので、

妻を傷つけてしまったかなとあとから後悔することもありますし、
職場で上司や部下に対して言い過ぎてしまったなと反省することもあります。

そんなときに、この「刺激と反応の間」の話を思い出します。

「あぁ、あのとき、もうちょっと冷静に考えて行動すべきだったぁ」と。

私たちは、世捨て人でない限り、人間関係を無視しては生きていけません。

家族、友人、職場の上司や同僚、業者、コミュニティやツイッター、ブログの仲間たち、あるいはたまたま満員電車に一緒に乗り合わせた赤の他人・・・

日々周囲の人々や出来事、環境に反応しながら生活しています。

そういう人間社会で、私たちが本能丸出しの動物とは違って、人間としての主体性を発揮することができるように、四つの独特な性質がもともと与えられています。

主体性を発揮するということ

①自覚
②良心
③自由意志
④想像力

私たち人間は、

自分自身の考え方や動機、習慣、行動などを冷静によく知って検証し、【自覚

原則に従おうとする良心の声を聞きながら、【良心

感情やその場の状況、傾向に流されて反応するのではなく、向上心を持って、【自由意志

自分自身で心に描くイメージやビジョン、夢に向かって諸問題を解決していくことができる。【想像力

ようになっているのです。

ここでもう一節、『7つの習慣ファミリー』から引用してみます。

7つの習慣ファミリー

「一時停止ボタン」を押そう

人間とはなんと感情に流されやすい生き物なのでしょう。みなさんも経験されたことがあるでしょう。その場の雰囲気に流されて心にもないことを口走って後悔する。「ああ、あのときちょっと立ち止まって考えていたら、あんなことしなかったのに」と思うようなことが。
私たちは「一時停止ボタン」が必要なのです。それは自分の身に降りかかってくること、それに反応してしまう前に、自分で自分の反応を選べるようにしてくれるボタンです。

 

人の言動や降りかかる出来事にいちいち反応し、それに気をとられてばかりいるのは、原因はいつも自分の外にあると決めつけていたり、自分自身の価値観が充分に確立していない証拠です。

もちろん、人に一切反応しない、人の話を聞かない人は、単なるわがままか頑固者ですが、しっかりとした価値観と信条を持っている人は、軸がぶれません。

恋人や妻、上司が言った一言、
何気なく観ているテレビやインターネット、
無謀に追い越していく車、
レストランでやたらと大きな声でしゃべっている人、

こんな時、それにすぐに反応し、時間を無駄にしたり、感情を乱したりするのではなく、まずは「一時停止ボタン」を押してみるのです。
そこにスペースが生じ、じっくりとどう反応するかを選択することができるのです。

自覚・良心・自由意志・想像力という四つの独特な能力が、人間としての主体性を発揮し、これらの能力が羅針盤(コンパス)を形成する。

上述の4つの要素「自覚・良心・自由意志・想像力」がバランス良く機能することによって、私たちが自主性を持つことができ、向かうべき方向を示してくれるコンパスとなるわけです。

このコンパスをしっかり機能させることができるようになることにより、サナギの殻を破って大空を自由に飛び回ることができる羽をゲットできるのです。

以前「人間は二度生まれる」で引用した、ルソーの言葉で、

人間は二度生まれる。
一度はこの世に生を受けて。
もう一度は人間となるために。

というのがありましたが、
まさに「自覚・良心・自由意志・想像力」の能力で人間としての主体性を発揮した時、私たちは人間になれるのかもしれません。


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3 thoughts on “刺激と反応の間のスペース

  1. 今日もたくさん学ばせてもらいました♪
    反応よりも自分の意思で選択すると言うことは毎回脳トレになるね!
    反応するのは簡単だもんね。学生なら決まった時間に学校に、会社員も同じく出勤して誘われたら飲みに行って..ってルーチンワークになりがち。
    学生でもさ、夏休みのような長期休みをただダラダラ過ごすのか自分でクリエイトするのか。主婦は特に自己管理、クリエイティブに過ごした方が楽しいって思います♪
    生まれてくる子供ものびのびと自分の意思で選択できるように
    親になる自分も無言でもそれが伝えられるようなそういう生き方を心がけたいです。

  2. 「刺激と反応の間のスペース」これは一瞬であり無限であるなぁ・・と感じました。刺激に対して瞬時に反応しなければならない時も多い人間社会、その一瞬に自覚と良心と自由意志と想像力を凝縮させたい・・・じっくり考える選択も瞬時にわが身から起こる選択も良心的でありたいなと欲張ってしまいました。

    この刺激と反応の間のスペースの人間らしさがうまく育まれていかなかったり、ストレスが多すぎて主体性が発揮しづらかったり厳しい世の中ですが、どんな環境であれ、まずこのスペースの四つのささやきに耳を傾けて、自分らしく生きていきたいです。

    1. 「一瞬であり無限」
      深いです。深い。

      そう考えると、
      良い刺激があふれる環境に身を置きたいですね。
      子育てもその辺がポイントかな。と思います。
      でも、それがなかなか叶わない現実。

      ①自覚
      ②良心
      ③自由意志
      ④想像力
      この4つを大切にしたいですね。

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