奇跡のリンゴは宇宙の法則によって

リンゴの花

リンゴの花も散り、これから実が少しずつ成長していく、そんな季節です。

今から7、8年ほど前、ご縁があって青森県弘前市にあるデパート最上階の洋食、和食レストラン、カラオケボックス、大宴会場など4店舗の店長をまとめてやった経験があります。

それまで全く経験のなかった店長職ということと、東京から新店長が送り込まれて来るということで、最初の2週間くらいは地元のスタッフたちと打ち解けるのに苦労したのを覚えています。

中でも、私よりはるかに年上の板長や料理長から信頼を勝ち得るまでは、新メニューの開発から給料のことなど、さまざまな魂と魂のぶつかり合いでした。
その上に、耳に慣れない津軽弁で、最初のうちはコミュニケーションすらままならなかったという記憶が昨日のように懐かしく脳裏によみがえります。

ま、この話は長くなるのでこのくらいにして、弘前といえばリンゴで有名です。

今でも収穫が始まる8月、9月になると、当時の従業員が採れたてのリンゴをたくさん送ってきてくれ、毎年贅沢にも弘前のおいしいリンゴをいただいています。

今回のテーマは「奇跡のリンゴは宇宙の法則によって」。

一年以上前に読んだ本で、石川拓治著『奇跡のリンゴ』というのがあります。

2006年末にNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で放送されたのをきっかけに大反響を呼び、出版された書籍です。

これには感銘を受け、今まで5冊くらいは買って家族や友人に配ったほどです。

この本の主人公は、リンゴ農家の木村秋則さん。
「絶対不可能」といわれたリンゴの無農薬栽培を可能にした男の記録です。

木村さんは、リンゴの無農薬栽培を実現するために、何かに取り憑かれたように没頭するのですが、何年経ってもリンゴの木は実どころか花さえつけてくれません。

婿養子に入った家は主である木村さんの「道楽」のため困窮を極め、それまでは家族のように親しかった周りの農家からも「バカが感染(うつ)るから、近づくな」と陰口を叩かれるほどにまでなった彼は、とうとう自殺を考えます。。。

と、これ以上書くと書籍を買って読む楽しみがなくなってしまいますので、これまでにしますが、その捨て身の姿勢が、最後の最後、奇跡を起こします。

つまり、それまでわからなかった宇宙の法則に気づいていくのです。

この本の裏表紙にも引用されているのが以下の文章です。

奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているわけではない。周りの自然の中で、生かされている生き物なわけだ。人間もそうなんだよ。人間はそのことを忘れてしまって、自分独りで生きていると思っている。そしていつの間にか、自分が栽培している作物も、そういうもんだと思い込むようになったんだよな。農薬を使うことのいちばんの問題は、ほんとうは、そこのところにあるんだよ。

農薬を撒くということは、リンゴの木を周りの自然から切り離して育てるということなんだ。山の土が温かいのは、微生物がたくさんいて、活発に活動しているからだ。

 

私はこの一節を読んだ瞬間、これこそ宇宙の法則であり、私たちが生きていくための不変の人生哲学だと感じたのです。

人間が、雑草だと思っている草が、実は生態系に重要な役割を果たしているということもあるし、害虫だと決めつけていても、実際は益虫といわれる他の虫とのバランスをとってるのかも知れません。

対症療法的な農薬で害虫や雑草を駆除することは簡単ですが、長い目、優しい目で見たときに、地球にとっても人間にとっても優しいものとは言えません。

それと同じように人間関係も組織運営もコミュニケーション術やスキルのようなものばかりで自分自身を武装したり、すぐに他人を排除したりするのではなく、まず相手を理解し、内面からにじみ出る人格を成長させること、それが大切です。

私たちは、ある価値観に固まってしまうと、ややもすれば排他的になってしまいがちです。
世界各地で起きている、宗教やイデオロギーの違いによる争いなどは最たるものです。

雑草には雑草の、害虫といわれるものにも害虫の存在価値があるように、自分も含めて、この宇宙森羅万象すべてに存在する価値があり、尊敬に値するものであるという観点から物事を見つめることが、人間として思考する最初の土台だと思うのです。

木村さんは、無農薬のリンゴを育てるということに没頭する中で、実体験として、宇宙や自然の法則を目で見、肌で感じとっていったようです。

以下、本文より

「これ、この葉っぱ見てよ。丸く穴があいているでしょう。何だと思います?」
木村は、一枚の葉を手にしていた。確かに葉の中央に穴があいている。虫に食われたのだろうか。そう言うと、木村は嬉しそうに首を横に振った。

奇跡のリンゴは宇宙の法則によって

「違うの。これはリンゴが自分で開けた穴なの。いや私も最初は虫かなと思って見過ごしていたんだ。だけど、どうもこんな葉の喰い方をする虫はいない。長年、不思議には思っていたんだけどもな。ある時、この穴のあいた葉っぱのそばに、斑点落葉病特有の茶色い病斑がついた葉を見つけたのな。あれっ、と思った。それで、カラカラに乾燥していった。葉っぱがそこだけ水分の供給を絶って、病気を兵糧攻めにしているみたいに見えたな。そのうち、病斑部がぽろりと落ちて、穴があいたというわけだ。それだけではないんだよ。この穴があいてから、葉っぱの横についている小さな葉がどんどん大きくなっていったの。葉っぱを失った分を、補っているわけだ。スケールで計ったんだけど、穴の大きさと葉っぱが大きくなった分がほぼ同じであったな。穴がもっともっとたくさんあいて、それでは補えなくなると、今度は枝の先に新しい葉っぱを出すんだよ。畑に堆肥をやっていた頃は、病気になってもこんな穴は出来ていなかった。この畑にはぎりぎりの栄養しかないから、リンゴの木が元々持っていた自然の力が引き出されたんだと思うのな。知れば知るほどよ、自然というももはすごいものだと思う。」

 

自然治癒力や免疫機能を備えている人体と同じように、地球も自然浄化力や、外部からのストレスに対して的確に処理するシステムがあるのです。
私たちはそのシステムの手助けをするだけということです。

現在、木村さんはリンゴ農家の傍ら、全国を飛び回って講演などもしておられるようです。

私たちも木村さんのようにストイックな生活をしなければならないというわけではないですが、何かを成し遂げたい!自分を変えたい!という思いが強ければ強いほど、それを実現させていくパワーはすごいものがあるなと感じた次第です。

最後に、本書の冒頭に掲載されているインドの思想家タゴールの詩を引用したいと思います。

危険から守り給えと祈るのではなく、危険と勇敢に立ち向かえますように。

危険から守り給えと祈るのではなく、
危険と勇敢に立ち向かえますように。

痛みが鎮まることを乞うのではなく、
痛みに打ち克つ心を乞えますように。

人生という戦場で味方を探すのではなく、
自分自身の力を見いだせますように。

不安と恐れの下で救済を切望するのではなく、
自由を勝ち取るために耐える心を願えますように。

成功の中にのみあなたの恵を感じるような
卑怯者ではなく、失意のときにこそ、
あなたの御手に握られていることに気づけますように。

(ラビンドラナート・ダゴール『果物採集』より石川拓治訳)

原文(英語)はこちらを参照

 

『奇跡のリンゴ』、もう既にお読みになっている方も多いかとは思いますが、もしまだだとおっしゃる方は、是非一読をオススメします。


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4 thoughts on “奇跡のリンゴは宇宙の法則によって

  1. いつも素敵な内容で楽しみです♪
    私も植物を育てていますが、手入れを怠る事も多い私に育てられているそれらは
    とっても丈夫になっていきます。^-^;

    水をやりすぎても肥料をあげすぎてもダメだし、かといって観察を怠りすぎるとそれもダメ。
    水が少なければ根を下に横に伸ばして行き、根を張っていく。
    日光が少なければ日のある方へある方へ枝を伸ばして行き、花をつける。
    虫に食害されたり、私がワザと葉を切れば幹を太くしたり別の葉を茂らせる。

    花も木も生きる為の智恵もって必死の工夫をしている事がよくわかります。

    本当に面白い。
    彼らの必死さが伝わるので面白くて夢中になってしまうのですが。

    私たちも人間の持つ自然治癒力や免疫機能をもっと信じてあげるといいなと思うこともあります。

    もちろん、科学や医学のおかげで健康な人が増え、私自身も家族も恩恵を預かってはいますが、
    人間が本来持っている自然治癒力や免疫機能はもっともっと凄いと感じる事があります。

    我が家は出来るだけ薬に頼らず、子供の持っている自然治癒力に限界まで発揮してもらおうとしていますが、
    大抵の事は本当に治癒してしまいます。

    植物も子育ても、私流の実験台になってもらっているようで申し訳ないですけど。^^;

    精神面でもあまり構い過ぎず(そうする事は結構大変なんですけど…)にいる事が
    双方にとって、いい結果になる事が多いような気がして。

    植物のように水や光や肥料が足りなければ

    自分で根を張り、
    自分で葉を茂らせ、
    自分の力で花を咲かせられるように

    そんな人間になってもらえたらいいなぁ~と。

    さな爺さんのブログを見て改めて思いました。

    そして、植物を見ても、子供たちを見ても
    育ててもらっているのはやっぱり私の方なのだと。(笑)

    ちなみにウチの植物たちもみーんな無農薬デース(*^-^*)

    長文すみません~。

    1. kumaizumiさん
      コメントありがとうございます。

      いつもガーデニングツイート、微笑ましく拝見しています。
      うちも、自宅の隣に畑があって、そこで色々作っていますが、すべて無農薬です。
      植物に農薬を与えるということは、人間にたとえると、赤ちゃんの時から、
      薬を与えるようなもの。
      人間にも植物にも自然治癒の力が備わっているのだから、それを大切にしていきたいですね。

      これからの時代、農業も農薬を使った安価な大量生産より、
      自然の力で育った野菜や果物が当然になってくるでしょうね。

      なにしろ、私たちの身体は口から入るもので成り立っているのですから。

      次世代のためにも、それが普通な社会に早くしていかないといけないなと感じる今日この頃です。

  2. こんにちは。はじめまして(^^)ランキングから来ました。

    木村秋則さんに影響されて、自然栽培&自然農を模索している

    ふつうの主婦です。

    とても共感できる記事に嬉しくなってコメントしました。

    良かったら、この記事リンクさせてもらってもよいでしょうか?

    もっともっと、みんなに知って欲しいと思っています。

    1. MASAYOさん
      コメントありがとうございます。
      ブログ・夢幻空華を拝見しました。
      何よりも実践されているのがすごいですね。

      リンクはどうぞご自由に貼って下さいませ。

      今後ともよろしくお願いします。

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