時計と羅針盤(コンパス)と感情

ゆく夏を惜しみながら十六夜の月明かりを楽しむ!

8月も今日を含めてあと6日。
8月31日まで夏休みの学生はこの6日間がラストスパート。
私もどちらかというと、コツコツ型ではなかったので、小中学時代、この辺りになるとワーワー言いながら、まとめて絵日記や読書感想文を書いたり、「夏休みの友」の空欄を埋めていったものです。

ここで、
「あと6日しかないのか!」と考えるのか、
「あと6日もある!」と考えるのかによって、モチベーションや結果も違ってくるはず。
小学校の頃遊びほうけてた私が言うのもなんですが、是非与えられた時間を有意義に使いましょう。
(この思い、田舎の子どもたちに届けー)

さて、前回の投稿「どこでもドア:時空の制約と感情」では、時間と空間という制約のある環境に生きている私たちにとって、それはとっても不自由ではあるけれど、逆に人間の成長や人格形成には必要なことだということを書きました。

しかし、その時間の流れに対して、何もしなければ、ただ押し流されながら老いて一生は終わってしまいます。

人間は、世の中に良い波紋を広げていく使命を持って生まれてきた

本能と宇宙の法則だけで生きている動植物と違い、喜びや感謝といった感情をもった人間は、約80年の人生でただ生まれて死んでいくために生きているのではありません。

私たちは、日々の時間軸の中で、喜怒哀楽を通して人格を成長させながら、自分自身も楽しみ、そして世の中に良い波紋を広げていく使命を持って生まれてきたのです。

そのためには、限られた時間をいかに有意義に過ごすかということが重要になります。

大きな石と小さな石」でも投稿しましたが、バケツに小さな石から入れていくと、後で重要な事柄である大きな石が入らなくなってしまいます。

これは、日々の生活の中でよくやってしまうことです。

7つの習慣 最優先事項「人生の選択」と時間の原則』から関連部分を引用してみます。

7つの習慣 最優先事項「人生の選択」と時間の原則

「重要事項を優先すること」は、人生の核心に関する問題といえる。ほとんどの人は、「やりたいこと」や「やらなければならないこと」がありすぎて疲れ果ててしまっている。自分の時間を最大限に使いこなすために、そのときどき、あるいは一瞬一瞬、行動を決定することは大変なことなのである。

「良」か「悪」かを見分けるのは簡単だ。なぜなら無駄な時間の使い方や愚かな時間の使い方なら誰にもすぐに分かるからだ。しかし、ほとんどの人にとって、「良」か「悪」かを区別することが問題なのではなく、「良」か「最良」かを見分けることが難しいのだ。「最良」の敵は「良」であることが多いのだから。

(中略)

あなたにとっての「最良」とは何だろうか。「最良」のために時間と労力を使うことを妨げているものは何だろうか。あまりに多くの「良」が邪魔をしているのではないだろうか。数多くの「良」に邪魔され、重要事項を優先できなかったことを、ほとんどの人が後悔することになるのである。

 

「良」は小石ほど小さくなくても、大きな石である「最良」よりは優先順位が低いはず。

問題は、「最良」と思うことを実行した後に、どんな感情を手に入れるか。ということ。

さて、これから2時間、何かに集中して取り組むとします。

普通、
「2時間後にどんな結果を得たいのか」
までは考えますが、
ここでさらに、
どんな感情を抱きたいのか
が明確であれば、モチベーションは自ずと上がってくるし、その課程のおける感情や行動に変化が生じます。

ショッピングとドライブは定番

たとえば、私は田舎の自宅に帰ったときに、よく家族で朝から夕方までショッピングとドライブにいきます。
その何時間という時間を家族と費やす目的は、もちろん、ショッピングであり、ドライブでもありますが、本当に達成したい目標に、ある特定の感情を当てはめてみるのです。

その達成して得たい感情が、
「家族全員が喜び、幸せな気分になれること」
だとします。

毎度のことですが、車に乗るとほどなくして小二と幼稚園児の兄弟げんかが始まります。

ここでもし、目的がショッピングとドライブだけだと、運転手の気を散らせてしまう二人に対して、私は怒鳴り声を上げるでしょう。

でも、最終的にゲットしたい感情が、
「家族全員が喜び、幸せな気分になれること」なので、
そのケンカに対する対処法は自ずと違ってきます。

実際に怒鳴ったことはありますが、当然ながら、車内はいやーな雰囲気になります。
でも、怒鳴らずに、ケンカになった原因を聞き、静かに諭してやるとほどなくおさまります。

しかも、出かけるときにその目的を家族全員が共有しておくともっと効果的です。

個人や家庭だけでなく、企業やグループの目標や理念も、数字や実績より、さらに高いところに達成したい「感情」を掲げることにより、社員の結束力が強まります。

ここで、企業の目標が出てきたので、一つ、「かんてんぱぱ」で有名な伊那食品工業株式会社会長塚越寛氏著『いい会社をつくりましょう』から引用してみます。

社是は「ペンギンのくちばし」

いい会社をつくりましょう。

当社の社是には、「会社は、経営者は、社員はどうあるべきか」と、それぞれの「本来あるべき姿」を文章にしてあります。「本来あるべき姿」ですから、どこの会社にも当てはまるないようになっているのではないかと思います。経営理念を盛り込んだ社是があれば、社是を中心にチームワークを育んでいけると思います。

チームワークの大切さを語るとき、私は「ペンギンのくちばし」というたとえ話をすることがあります。ペンギンには歯はありませんが、それでも魚を捕ることができます。なぜでしょうか。くちばしの中の毛が、みんな内側を向いて生えそれっているからだそうです。毛の一本一本の力は弱くても、すべての毛が同じ向きになって集まれば力は強くなり、魚はくわえられたが最後、もがいても逃れることはできません。

ペンギンのくちばし

会社において、くちばしの毛の方向に当たるのが経営理念です。社員みんなが同じ方向、つまり共通の基本的な理念を共有し、めざしていきたいものです。一人ひとりの力は小さくても、みんなで集まって同じ方向に向くことで、大きな力になります。一般に、「金太郎飴はダメ」と思われています。理念がなく、あるいは理念の理解がバラバラで、経営の手法だけを同じくしようとすると、言動のすべてに個性のない「手法の金太郎飴」になってしまいます。これでは、魅力的な会社にはなれないと思います。

そうではなく、いわば「理念の金太郎飴」をめざしたいものです。みんなが進むべき方向、理念を共有していることが必要です。山にたとえれば、「あそこに登ろう」という明確な一点です。根底の理念は同じで、手法は個性的であれ、ということです。頂上へ向かうときの服装や歩き方、ルートは、さまざまであっていいのではないでしょうか。

 

さて、すこし話が横道にそれましたが、今回の投稿のタイトルは、「時計と羅針盤(コンパス)と感情」。
時計と羅針盤(コンパス)については、下記引用(『7つの習慣 最優先事項「人生の選択」と時間の原則』)を参照してみてください。

自分がどのようにして重要事項を優先しようとしているかは、自分が二つの強力なツール(時計と羅針盤(コンパス))をどのようにつかっているかを考えれば分かる。

「時計」とは、時間をどのように使い、管理するかを表す「約束・予約・スケジュール・目標・活動」のことである。「羅針盤(コンパス)」とは、自分の人生をどう生きていくかといったことを表す「ビジョン・価値観・原則・ミッション・良心・方向性」のことである。

時計と羅針盤(コンパス)のあいだにギャップがあること(自分がやっていることが、自分の重要事項に役立っていないこと)を強く感じたときに葛藤は生じる。

なかには、そのギャップが強烈な痛みとなって返ってくる人もいる。このタイプの人は、自分が言ったことが実行できず、他人や状況によってコントロールされたり時間をとられたりしていると感じでいる。常に緊急事態や危機に反応し、つまらないことに振り回されている。つまり、火を消す作業だけに時間を費やし(その場でしなければならない最低限のことしかしないで)、自分の本当の実力を発揮するという大切な作業に時間をかけることがないのだ。ただ流されるまま生きているといっていいだろう。
ギャップをなんとなく不快に思っている人もいる。そのような人は、自分がすべきことや、したいことができていない。そして、していないことだけに気を取られ、していることに集中できないというジレンマに立たされる。

 

私たちは、ややもすればやることが多すぎて、すべてを投げ出したくなったり、現実から逃避したくなることがあります。あるビジョンや目標に対して、時間ばかりが過ぎていき、どんどんギャップが大きくなっていくということはよくあります。
現に私などもよくこの壁にぶつかってきました。

時計と羅針盤と感情

ここで重要なのは、強力なツールである「時計」と「羅針盤(コンパス)」と、さらに「感情」、この3種類のツールの特徴と使い方を知った上でそれを使いこなしているか?ということです。

①「時計」:「約束・予約・スケジュール・目標・活動」が明確であるか?
②「羅針盤(コンパス)」:「ビジョン・価値観・原則・ミッション・良心・方向性」が定まっているか?
③「感情」:最終的に得たい「感情」は何か?その軸がぶれないでいるか?

「何かのプロジェクトを実行する」とか、
「自分自身の人生を創りかえていく」時に、上記①〜③はとても大切な要素になります。

プロジェクトの途中や人生のどこかで、理想と現実のギャップに悩まされたとき、自暴自棄になりそうになったとき、常に原点に帰って確認する内容が、「時計」と「羅針盤(コンパス)」と「感情」なのです。

みなさんご存知の通り、この3つの中でも一番やっかいなのが「感情」なんですよね。
この「感情」に関しては、その動きやコントロール方法など、また別の機会に、ガッツリと掘り下げて考察してみたいと持っています。

終わりゆく夏を惜しみながら、十六夜の月明かりの中、思いつくまましたためてみました。
最後まで読んで下さって感謝です。
誤字脱字、ご容赦を。


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5 thoughts on “時計と羅針盤(コンパス)と感情

  1. なるべくニュートラルに物事を受け止めようと心がけているのですが、会社ではアンフェアを感じることが多く、ビジョン・価値観・原則・ミッション・良心・方向性が共有できずに苦しくなる時があります。田舎に帰って家族と過ごす時のさな爺と同じように、最終的にみんなが幸せな気持ちになって楽しく過ごすということしかわたしの中にはないのですが。

    1. umejunaさん、いつもコメントありがとうございます。
      ブログに書いてる内容自体は、私自身にとっても理想的なことや自戒の念が多く、実際にはそう簡単にはいかないのが現実です。
      「ビジョン・価値観・原則・ミッション・良心・方向性が共有」というのは、頭ではその必要性をわかっているのですが、それを実行していくためには、リーダーシップとコミュニケーションが必要ですよね。
      リーダーシップとコミュニケーション、この二つの要素の中でも特にコミュニケーションが大事だなと常々感じています。
      その中からお互いの信頼関係へとつながっていくのかなと。。
      家族でも職場でもいかに風通しの良い環境に造り替えていくかってことが最初のとっかかりかなって思っています。

  2. さな兄さん。いつも大切なことを優しい言葉でさりげなく教えてくれてありがとう。どうして、私の考えてることがいつも分かるんだろう!と不思議に思います。大きな石から入れること。最近ずっとこのことを考えていたの。勉強する時も、仕事をする時も、私の大切なことに取り組む時も、1番大切なことからした方がいいんだって。重要な源流を自分の中に持つことで、枝分かれしたことが、より理解しやすくなっていく。悩みが解決していくの。それからね、自分の中の1番大切に思う目標もしっかり持つことが大切だって、ペンギンさんのくちばしのお話から教えてもらいました。いろんなことをしていても、ひとつの大切な目標さえ見失わなければ、全ての経験はムダにはならないことも示しているよね。そして感情のお話。サンデル先生も、感動する心が大切だよって私に言ってくれたの。どんなに素晴らしい知識があっても、人として命に感動できるようでありたい。さな兄さんも、サンデル先生と同じことを、違う側面から教えてくれた。ほんとうにありがとう!

    1. fuuちゃん、Twitterではいつもありがとう。
      fuuちゃんの卓越した知識と哲学思考と優しさにはいつも敬服しています。
      このブログ自体は、読んだ本、誰かから聞いた言葉、その時に感じたことなどからインスピレーションで書いてます。
      そういう中で、見えない潜在意識の部分で、シンクロしたりリンクしてるのかもしれないね。

      本当は、人にはもともと羅針盤(コンパス)って備わってるんだけど、枯れ葉やヘドロの下に埋まってしまっているのが現状なのかなって感じてます。
      本を読んだり、良い言葉を聞いたり、それを実践したり、哲学をしながら、その枯れ葉やヘドロをかき分けて、なくしてしまったコンパスを探し出していくんだなーって。
      で、そのコンパスも探し出して、キレイに掃除してみると、実はちゃんと真北を指し示してくれてる。
      あとはそれを信じて人生を歩んでいくって感覚ですね。
      サンデル先生の哲学的手法は、まさにその何かに埋もれてしまったコンパスを探し出していくためのものなんだ!と感じている今日この頃です。

  3. さな兄さん、お返事ありがとう。
    さな兄さんの落ち着いたどっしり感と、素晴らしいことを自然に取り込んでいる姿を、いつも見習いたいと思っています。

    心の羅針盤は、世間の雑多な出来事や自分の欲望によって埋もれてしまうことがあるんだなって感じています。
    本当は北を指しているのに、わがまま言って見ないようにしていた時期もありました。
    でも、自分が本当に目指していることから目をそらしていることは、心の一番奥深くで分かっていたの。
    羅針盤をキレイに掃除するには、自分を律することが大切なんだなーって思いました。
    そのためには、本当に信じられる真実に出逢わなければならない。
    真実はいつも、私を助けてくれる。

    掃除する作業は、自分の欲望との戦いでもあるんだね。
    だけど、勇気を持ってキレイにしてみると、本当にすっきりする。
    羅針盤が指す方角には、本当の喜びがあることに気づいたの。

    掃除して、進む勇気をくれたのは、さな兄さんや大切な人との出会い
    そして、本や、サンデル先生との出会いでした。
    とても感謝しています。

    サンデル先生の倫理観と哲学理論は、人を本来の喜びに気づかせる本質が詰まってる。
    心のコンパスを復活させてくれた。
    神学に追いやられてしまった道徳を日常に復活させてくれた人。
    すっと心に引っかかってきたことを肯定して、語る言葉を与えてくれたの。
    出逢えてよかったー。

    そして、さな兄さんや多くの人と分かち合えることをうれしく思っています。
    ありがとう!!

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