形は心:機能とデザイン

大学受験生にとって、いよいよ一つ目の大きな関門、大学入試センター試験が今週末に控えています。
インフルエンザや風邪の流行が騒がれている今、受験生をもつ親にとっても気が気ではない季節。

都内の近所の塾では、入り口で警備員が消毒液を持ち、生徒一人ひとり入念に消毒をさせていました。
生徒も職員も全員がマスクをしている光景を目にしたときは、ちょっと物々しささえ感じましたが、私自身、当時の共通一次試験の一週間前に入院した経験を持っているので、その気持ち、よーくわかります。

とかなんとか言っても、
もうこの期におよんでじたばたしても始まらない。
泣いても笑ろてもあと3日、、
なのですよね。
肩の力を抜いて、リラックスして試験に臨める精神と体調をキープできますように(祈)

さて、今から四半世紀前、、ちょっと苦労してやっと入った大学で専攻したのが経営学。
その中でも、組織学に関心があったので、卒論は、企業の組織のあり方について書きました。
タイトルは、『企業組織解体心書』

理想的な企業組織の形態は、機能的にもデザイン的にも、そして精神的にも、一人間のようであるべきだという内容です。
人体の仕組みは、循環器系、消化器系、脳神経系、免疫系、細胞の働き、、その機能とデザインという観点から見ても、どれ一つとっても無駄なものがなく、有機的に連携しながら日夜働いてくれています。
当時は、この論文(たいしたものではありませんが。。)を書くために、経営学や組織論だけではなく、人体や生物学、細胞学に関する書籍もたくさん読みあさりました。

この当時から「機能とデザインの融合」という言葉はとても大好きでした。
しかも、それを作った人の心が形となって表れるということです。
今から思えば、魚屋時代、刺身を造ってたときもいつもこのことを考えながらさばいていたような気がします。。

そんな中、以前も紹介した月刊誌『致知』2月号にファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏と多摩美術大学名誉教授/本田技研工業社友の岩倉信弥氏の対談がとても興味深い内容だったので、少し抜粋してみます。


柳井 経営とデザイン、マネジメントとクリエイティブ、論理と感性といった二つのもののバランスが、経営には非常に大事です。でもその二つを岩倉さんのように理解している方は、経営者でもあまりいないし、デザインをする人ならほぼ皆無ですよね。それらは相反するもののようですが、どちらも不可欠なものだと思うんです。

岩倉 柳井さんが尊敬されているドラッカーも、「科学と芸術が一体になっていなければ経営はできない」と述べていますよね。

柳井 えぇ、そうですよね。

岩倉 本田さんは車のデザインを見て「おぉ、これは性能がいいだろぅ」という言い方をよくされました。パッと見たら、あ、これはいい考え方でできたものなんだということが分かると。そういうことを大衆やユーザーは看破するんだとおっしゃっていました。
ですから「見た目」がいかに大事かということですよね。僕はデザイナーで、性能の部分を作っているわけじゃないですから、おかしなことを言うなぁと当時は思っていたんですが(笑)、もう姿形に表れているという意味でしょう。

柳井 それは衣料の業界でもやはり同じで、どこからが内面で、どこからが外面ということはあまり分からないですよね。デザインにはその人間が持っている想いとか、いろんなことが総合されて表れてくるのであって、突然デザインが出てくることはないと思います。
本田さんはご自分で車を作られていたので、そういうことを体得されていたんじゃないかな。

岩倉 ご本人はデザインの学校を出たわけでも、当時は絵を描いておられたわけでもない。ですから、考え方がそのまま形になっていくということなんでしょう。僕のものづくり人生も「形は心」という一言に集約されるように思います。

 

私は1989年頃からパソコンは、Apple社の製品を使い続けています。
なぜか?

それは、一社でソフトウェアとハードウェアを開発することによって、機能とデザインが融合しているからです。
Apple社の、デザインに対する思想がハードやソフトにきちんと反映されており、それがユーザーにとっての安心感につながっているのだと思います。

別にWindowsを非難しているわけではありません。
仕事ではWindowsも使用していますから、その良さもわかります。
その圧倒的シェアにより、アプリケーションソフトも豊富です。

ただ両方使ってみて、Apple製品の無駄のないデザインと、ユーザインターフェイスは秀逸だと思うのです。
まさに岩倉さんが言っているように、「形は心」かなと。

なぜか、Appleの話になってしまいましたが、自動車、衣料、言葉、ブログ、書籍、建物、料理、などなど、、人がアウトプットするものには、必ずその人の想いや精神性、思想などが脈々と流れています。
つまり心が形となって表れてくるのです。

その創出されたものを自らが見て驚くこともあるくらい、自分の内面を映し出す鏡のようなものです。

逆に、精神的にしぼんでいるときに、敢えて綺麗なモノを創ったり、見たり、良い言葉をアウトプットすることによって、その創出されたモノや言葉で、自分自身の精神に良い変化が起きたりもします。

心と体は対であり、表裏一体不可分のものなので、当然といえば当然かも知れません。

企業も人と同じで、社長から社員まで、その中で働く人たちの精神状態が企業のイメージとして表れてきます。
良い精神状態の時には良い仕事ができるのです。

人の60兆個の細胞一つひとつが生き生きしていれば、その人が元気ハツラツなように、社員一人ひとりが生き生きとしていれば、エネルギーに満ちた企業に違いありません。

月刊誌致知を読んでいて、「形は心」という言葉が目に止まり、大学時代のことを思い起こしがらも、私自身が公私ともに直面していることに想いを重ねてみた綺麗な半月の夜でした。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

※参考のために柳井氏と岩倉氏の略歴を記します。

柳井正(やない・ただし)──昭和24年山口県生まれ。早稲田大学卒。46年早稲田大学卒業後、ジャスコ入社。47年ジャスコ退社後、父親の経営する小郡商事に入社。59年カジュアルウエアの小売店「ユニクロ」第1号店を出店。同年社長就任。平成3年ファーストリテイリングに社名変更。11年東証1部上場。14年代表取締役会長兼最高経営責任者に就任。いったん社長を退くも17年再び社長復帰。著書に『成功は一日で捨て去れ』『一勝九敗』(ともに新潮文庫)『柳井正 わがドラッカー流経営論』(日本放送出版協会)がある。

 

岩倉信弥(いわくら・しんや)──昭和14年和歌山県生まれ。39年多摩美術大学卒業後、本田技研工業入社。大ヒット車シビックやアコードのデザインをはじめ、日本カーオブザイヤー大賞、日本発明協会通産大臣賞、グッドデザイン大賞、イタリアピアモンテデザイン大賞など受賞歴多数。その他の代表作にアコード、オデッセイなど。デザイン室の技術統括、本田技術研究所専務、本田技研工業常務などを歴任。平成11年同社退職後、多摩美術大学教授就任。22年より現職。著書に『本田宗一郎に一番叱られた男の本田語録』(三笠書房)『教育現場でのデザインマネジメント』(実業之日本社)などがある。

 


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2 thoughts on “形は心:機能とデザイン

  1. さなさん、おはようございます(*^-^*)。

    いつも素敵なブログ、ありがとうございます。

    今回もうなずきながら読ませていただきました。

    さなさんの書かれていることは、ワンネスに繋がるなぁ、と感じました。

    また、お伺いいたします~。

    1. 美夏さん、おはようございまーす。

      宇宙丸ごとひっくるめて、一つなんですよね。

      全体であり個であり、、
      ワンネス、素敵なことばですよね。
      それが世界の、宇宙の本質ですよね。

      オーストリーから、時空を超えてのコメントありがとうございます^^

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